映画TVアート

PERFECT DAYS

これは役所広司を観るための映画です。まるで、ダニエル・デイ=ルイスのように、一人で映画を全部背負っています。全てのシーンに登場してますし、彼のアップ映像が頻繁に使われます。意図的に説明を省略したヴィム・ベンダースのいつものスタイルですが、彼…

瞳をとじて

未だ生涯で3作品しか監督していないにも関わらず、処女作「ミツバチのささやき」の伝説化、神話化により、「スペインの巨匠」と讃えられているビクトル・エリセの31年ぶりの長編作「瞳をとじて」を観てきました。 エリセの新作は金輪際観れないと思っていた…

ファスビンダー傑作選@早稲田松竹

師走の寒い中、早稲田松竹にファスビンダーを観てきました。 西ドイツの「ニュージャーマンシネマ」を代表する監督で、37歳の若さで夭折した天才です。この人がもう少し長生きしていたら、一体どんな映画を撮っていたのだろうかと考えずにはいられない監督で…

ロバート・アルトマンの初期傑作選

早稲田松竹で、ロバートアルトマンの初期傑作選を特集していたので見てきました。 まずは、「雨に濡れた舗道」 1969年の映画です。これは初見でした。内容はサイコスリラーです。アルトマンは、すでにキャリアの初期の時点で、女性の性的欲望と境界線異常性…

久しぶりにWOWOWに加入しました

9月に入って、U-Nextとスターチャネルを解約し、WOWOWに再加入しました。WOWOWへの復帰は約3年ぶりです。 金額的には、月5,000円から約半額となり、家計的にもお得です。 エンタメ系をWOWOW一本に集約したのは、以下の理由からです。 U-Nextの見放題で見たい…

TAR 芸能とハラスメントについて

ジャニーズ事務所の性加害スキャンダルが大炎上していますが、そんな最中に映画「TAR」を観て、「芸能」と「ハラスメント」(セクシャル、パワー両方)について、色々考えさせられました。 ja.wikipedia.org ストーリを簡単に説明すると、レズビアンをカミン…

8/17 ダンサーインザダーク

現在までラースフォントリア監督が商業的に最も成功した作品です。カンヌのパルムドールを受賞しています。日本でも異例のロングランヒットとなり、最終的な興行収入は20億円超。 マツコデラックスが号泣して、一番好きな映画と公言しています。一方、ネット…

8/12 童年往事

現在、新宿のK's Cinemaで、台湾巨匠傑作選2023が開催中です。今年は、ホウ・シャオシェンの初期作品が来ています。 目玉は、日本初公開の「少年」で、これは毎上映回、満員となっているほどの盛況ぶりですが、私は、あえて「童年往事」を観てきました。 こ…

8/12 マンダレイ

「ドッグヴィル」の続編の「マンダレイ」を観てきました。内容はますます過激です。 「アメリカの人種差別」がこの映画のテーマなのですが、最終的に、映画の中で、黒人に「アメリカは黒人を平等に扱うことに慣れていない。だから、俺たちは、元通りの奴隷の…

8/11 ドッグヴィル

ラースフォントリア・レトロスペクティブ特集の2週間延長に合わせて、「機会の土地アメリカ三部作」(実際は予算の関係で二作で終了)の一作目「ドッグヴィル」を観てきました。 「ダンサーインザダーク」でカンヌグランプリを撮って全世界が注目する中、オ…

ヴィットリオ・ストラーロを4Kで観る喜び

7月のAmazonのセールで、東芝REGZAの55インチ4Kテレビが安くなっていたので、思わず購入しました。大画面で映える映画を色々と見まっくているのですが、やはり最後は、ヴィットリオ・ストラーロのカメラに行きつきました。 まずは、「地獄の黙示録 ファイナ…

7/25 メランコリア

ラースフォントリアの鬱三部作の二作目です。実は、WOWOWで放送した時に、家庭用ビデオにも収録済みで、コロナ規制が厳しい頃、鬱な気分になるとよく観ていました。が、大画面、大音量で観るのはやはり格別です。 冒頭の8分間ですでに心を持っていかれます。…

7/25 アンチクライスト

ラースフォントリアーの鬱三部作の一作目です。内容がショッキングでエログロなので、レイティングは当然のようにR18。おそらく監督の鬱が一番ひどい時に撮ったのだと思いますが、悪夢のイメージが洪水のように繰り返し襲ってきて、鑑賞すること自体に、覚悟…

7/14 ニンフォマニアック

*以下は、18禁のエログロの内容を一部含みますのでご注意ください。 ラースフォントリアー監督の新作公開に合わせて、現在、渋谷ヒューマントラストでラースフォントリア・レトロスペクティブを開催しており、過去の作品が全て鑑賞できます。 この監督のこ…

マティス展に行ってきました

GWの中日に、上野の東京都美術館の「マティス展」に行ってきました。大変な盛況でした。 パリのポンピドウーセンターの全面協力の元、展示されている155点全てが「マティス」というなかなか力の入った回顧展でした。 マティスは、ピカソと同じく多作で、世界…

デヴィッドリンチの迷宮世界に浸る「マルホランドドライブ」

相変わらず花粉症が酷くて、強めの薬を飲んで、U Nextのマイナー映画を見まくっています。今日は、デヴィッド・リンチ最大の問題作にして最高傑作の「マルホランドドライブ」です。 ja.wikipedia.org ストーリは、上のwikiに記載されているのですが、はっき…

偉大な監督の凡作「異邦人」

今週に入ってから、東京では花粉が飛びまくっていて酷いことになっており、私は、重度の花粉症のため、終日家に引きこもっています。こんな時には、U Nextのマイナー映画を見まくります。 それで、本日は、ルキノ・ヴィスコンティの「異邦人」を観ました。こ…

エゴンシーレ展に行ってきました

上野の東京都美術館で開催中のレオポルド美術館エゴンシーレ展に行ってきました。私は、クリムトとシーレはかなり好きな画家で、この二人の作品を堪能することを目的の一つに、ウイーンに旅行したこともあります。もちろん、それ以外にも、オペラ座とか、ウ…

ジャンヌ・ディエルマン@早稲田松竹

お正月の3連休明けに、早稲田松竹で、ジャンヌ・ディエルマンを観てきました。この映画の正式名称は、「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」という長ったらしい名称ですが、これは女主人公(ジャンヌ)+住んでいるアパート…

ベルリン国立ベルクグリューン美術館展に行ってきました

師走の寒い中、上野の国立西洋美術館まで、ベルリン国立ベルクグリューン美術館展に行ってきました。この美術館のコレクションはかなり特徴的で、20世紀のアーチストの中でも、集中的に、ピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティをコレクションしている珍…

サロメと愛の嵐(注意:エログロあり)

日曜日にサロメを観て、久しぶりに、愛の嵐(現代:The night Porter)を観ました。 愛の嵐は、元ナチス親衛隊員とユダヤ娘のSMチックな異常性愛と破滅を描いた退廃かつエログロな映画ですが、これは50年以上前の映画にも関わらず、未だにあらゆる世界中のハ…

R.I.P. ジャン=リュック・ゴダール

ジャン=リュック・ゴダールが、91歳で死去しました。衝撃的だったのは、安楽死(正式には、自殺ほう助)だったということです。健康に影響を与える複数の疾病を抱えて、疲れ切って、医師に薬を処方してもらい、自死を選択した、とAP通信は伝えています。(…

ウォン・カーウァイの4Kレストア版

ウォン・カーウァイの代表作の4Kレストア版が、8月中旬から全国公開されています。 unpfilm.com このタイミングで、U-Nextでも、同じ5本のレストア版(4Kではない)が見放題で配信されています。おそらく、劇場公開のキャンペーンだと思いますが、私のように…

タイロスでBangkok舞台の映画を観ていたら、あまりの内容にトラウマになった

帰国して1週間ですが、自主隔離と東京のCovid-19の感染爆発に怯えて、今週いっぱい自宅にひきこもっています。 気分的にタイロス感が強いので、タイが舞台の映画を色々みていますが、その中の1本が、「闇の子供たち」でした。 ところが、これはタイロスとか…

R.I.P. ジャン=ルイ・トランティニャン

ジャン=ルイ・トランティニャン(ジャン=ルイ)が亡くなりました。91歳の大往生でした。 数々の巨匠に愛された名優ですが、私が特に好きなのは、「男と女」「暗殺の森」「女性上位時代」です。20世紀を代表する名優ですが、とにかくお洒落な人でした。 男と女…

iPad Pro 9.7インチのバッテリーを交換しました

ゴールデンウィークを利用して、IPad Proのバッテリーを交換しました。私が利用しているのは、9.7インチという極小サイズの3世代前のモデルです。すでに5年使っているので、このタイミングで、最新版に機種変しようかとも思いましたが、性能面ではとりあえず…

追悼 ウイリアムハートが亡くなりました

71歳で前立腺ガンだったそうです。素晴らしい役者でした。まさにカメレオン役者、何にでもなれる人でした。 デビュー作の「アルタードステイツ」からずっと好きでした。 主演作はどれも名作揃いですが、3本あげると「白いドレスの女」と「偶然の旅行者」と「…

フェルメールと17世紀オランダ絵画展

4年ほど前に、ドイツのドレスデンに行ってきました。ドレスデンの美術館「アルテマイスター」で、ラファエロの「システィーナのマリア」は見ることができましたが、フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」は、修復中だか貸出中だかで見ることができませんでし…

パリ、テキサス 観ていて辛くなる映画

スカパーの番組配信が、Amazon fire stickにやっと対応しました。 それで、Star Chnnelのヴィムベンダース特集を見ています。まずは、カンヌグランプリの「パリ、テキサス」から見ています。この映画を観たのが高校生ですから、30数年ぶりです。 音楽(ライク…

36年ぶりに劇場でStop making senseを見る

渋谷のミニシアター系で夜一回だけの短期間上映に加えて、占有率50%制限のため、とにかく予約がとれないのStop making senseでしたが、予約開始の夜中0時にPCの前にスタンばって、何とか席を確保できました。 最初にこの映画を見たのは、高校3年生の夏で、…