R.I.P. ジャン=リュック・ゴダール

ジャン=リュック・ゴダールが、91歳で死去しました。衝撃的だったのは、安楽死(正式には、自殺ほう助)だったということです。健康に影響を与える複数の疾病を抱えて、疲れ切って、医師に薬を処方してもらい、自死を選択した、とAP通信は伝えています。(スイスでは、安楽死は合法)

イギリスの元首と日本の元首相の国葬のニュースにかき消されて、あまり目立ったニュースにはなっていませんが、第二次世界大戦後の最大の映画監督の死去です。それなりに、映画をかじった人間であれば、やはりショックを受けます。

初期の「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」から、中期の「パッション」「カルメンという名の女」「勝手に逃げろ/人生」、最晩年の「映画史」まで、多作かつ名作の多い監督でした。その分、駄作も多々ありますが。

私がゴダールの映画から学んだことは、「一回ですべてを理解できる映画も単純明快でいいが、何回か観ないと、わからない映画も素晴らしい。」ということです。

ゴダールの映画のほとんどが、一回観ただけではさっぱりわかりませんが、しばらく温めた後に、ふとしたタイミングで観返すと、そういうことだったのね、と突然理解できたりします。(永遠に理解できない映画もあり、そういうのは私の中では駄作扱いです。)最初の一回でわからずに匙を投げてしまう人も多く、ゴダール=難解というレッテルが張られる所以でもありますが、同じ映画を何度も見返して発見していく、という悦びが映画にはあることがわかります。

映画だけに限らず、20世紀最大のフランスの知識人だと思います。

このような真の意味でのインテリが、自分で人生の終わり方を決めて実行した、ということは、いろいろ考えさせられるところがあります。日本にも、中村とうようというミュージック・マガジンを創設した真のインテリがいましたが、この人も、最後は、「人生すべてやり切って、これ以上やることがない」と遺書を残して、投身自殺しました。この人も、偉大な知識人でした。

自分のケースに置き換えて考えると、老年となり、身体も不自由になり、施設、またはは家族の世話になって、特に目的もなく生き続けるのは嫌だなあ。ボケたりしたら生きてるのも辛いなあ。そうすると、こういう選択肢は極めて合理的という気がします。

日本もスイスのように、安楽死が合法となることを切に願います。そういう主張をしている政党っていましたよね。

あらためて、R.I.P.ゴダール

www.youtube.com