追悼 ウイリアムハートが亡くなりました

71歳で前立腺ガンだったそうです。素晴らしい役者でした。まさにカメレオン役者、何にでもなれる人でした。

デビュー作の「アルタードステイツ」からずっと好きでした。

主演作はどれも名作揃いですが、3本あげると「白いドレスの女」と「偶然の旅行者」と「蜘蛛女のキス」です。

白いドレスの女」は、悪くてエロい弁護士が破滅していくハードボイルドです。マイアミの蒸せるような暑さが、画面からムンムンと伝わってきます。どうしようもない最低な男ですた、最高に格好いいです。沢田研二の「堕ちていくのも幸せだよ」というのをリアルに体感できます。  

「偶然の旅行者」は、うってかわって、心に傷を持った繊細な男(自分の息子が、ストア強盗で銃殺される)の再生していく物語です。あんなに身体がデカいのに、実に繊細な男を演じています。最後に、新しい人生を見つけて、傷は傷として受け入れつつ、前を向いて歩いていくところで、私はいつも号泣します。 

「蜘蛛女のキス」このウイリアムハートはちょっと神がかっています。あのデカい身体で、女装趣味の同性愛者を演じていますが、本当にリアルで、あまりにいい人なので、思いきり感情移入してしまいます。映画が進むにつれて、女装趣味とか同性愛とかどうでもよくなり、人間としての素晴らしさにフォーカスがどんどんあたっていきます。マニュエルプイグの原作も素晴らしいですし、舞台も素晴らしいのですが、これは、映画が最高傑作です。

R.I.P.