日曜日にサロメを観て、久しぶりに、愛の嵐(現代:The night Porter)を観ました。
愛の嵐は、元ナチス親衛隊員とユダヤ娘のSMチックな異常性愛と破滅を描いた退廃かつエログロな映画ですが、これは50年以上前の映画にも関わらず、未だにあらゆる世界中のハイカルチャーに影響を与え続けている傑作です。多分、映画は観たことがなくても、下の写真に見覚えのある人は沢山いるはずです。シャーロット・ランプリングの衝撃。
映画の公開当初から、サロメとの関係が強く指摘されています。また、映画がハイカルチャーに与えた影響があまりに大き過ぎたため、その後の本家Operaの演出でも、映画「愛の嵐」を意識しているバージョンが出てくる、という逆転現象が起こっています。読替における舞台設定とか衣装とか。
明らかにサロメからの引用、というシーンは、上の写真のところです。上半身裸でサスペンダーにナチス帽で、気だるく、マリーネディートリッヒを歌い踊るユダヤ人少女ルチア(シャーロット・ランプリング)とルチアを変質的に愛するナチス親衛隊員のマックス(ダーク・ボガード)。ルチアの踊りが素晴らしかったので、マックスは「ルチアの好きなものを与える」といって、箱を渡しますが、箱の中には、ルチアが嫌っていて消えて欲しいと思っていた囚人(男)の生首が入っていました。しかも男の名前が、Johnでつまりヨハンというオチ。しかも生首がとてもリアル。
映画を観ながら思ったのですが、サロメの演出は、リミッター外して極限までエグいのがいいな。評価が高い2019のザルツブルク版も、エロエロですが、グロは意図的に排除しています。なんといっても生首が作り物の馬で、抽象化してますから。
ちなみに、ロイヤルオペラ版がエロかつグロくてよいです。(下の写真)ただ、これはレイティングはX指定でしょうね。
それにしても、愛の嵐、エグすぎます。大量殺戮をやっていた20世紀のヨーロッパが、本当に怖いです。私の考えるところ、キリスト教の影響が強すぎるが故に、一度アンチクライストに転向すると、躊躇なく、落ちるとこまで落ちるんでしょうね。
今でも、ロシアは20世紀と同じことやってますけどね。