東京交響楽団@ミューザ川崎 特別公演 5/27

平日のPM6:30開演、しかも東京は大雨、というなかなか厳しい条件でしたが、はるばる川崎までいってきました。 

前半はベルクの「室内協奏曲」。私は、ベルクというと「抒情組曲」のイメージが強く、こちらの方は初聴だったのですが、「抒情」とは大分イメージが違うなと思いました。同じ1925年の作品ですが、前者は無調、後者は12音技法の始まりとのこと。ただ、「室内協奏曲」も、新ウイーン派の匂いがプンプンして、聞いているとウイーン分離派のエゴンシーレ辺りの神経質な絵画が目に浮かぶ曲でした。ノットは、元々リゲティで世界的に評価された現代物が得意な指揮者ですから、タクトが自然で冴えてました。あんな訳の分からないスコアをよく生き生きと振れるよなあ。また、菅弦楽器の音がそれぞれクリアに分かってこれは面白かったです。結構、上手い人とイマイチな人がわかっちゃうんですね。バイオリンソロのニキティンは、超絶技法。いやあ、この人改めて凄いです。  

後半マラ1は、私がこれまで聴いた中で、一番ゆったりとしたテンポでした。また、ノットが要所要所で、リズムをかなり揺らしていたので、オケはついていくの大変だったと思います。特に金管。このテンポだと終演後は死んだでしょうね。実際、いくつか傷はありましたが、結果的にはこのゆったりしたテンポのおかげで、第四楽章のカタルシスが爆発した感じです。ヴィオラの切り込みが超絶格好良かったです。  

マラ1なので、盛り上がるのは当然なんですけど、それでも終演後の熱狂はちょっと凄かったです。皆さん、平日の夜に仕事調整して、わざわざ川崎くんだりまで来るんだから、相当なノット/東響ファンです。  

ちなみに、マラ1だったので、私はホルンを間近で観たくて2LAの席を取ったのですが、私の席のすぐ側で、例の「携帯アナウンス」事件が勃発しました。TwitterのTLで散々書かれていた件です。第一楽章の開始で、ノットがタクト振り始める直前に、大音量の携帯アナウンス「機内モードがうんたらかんらた」が鳴り、オケも観客も集中が吹っ飛んで仕切り直しとなりました。当事者は、至極恐縮して周囲に謝っていたし、多分居た堪れなかったのか、終演後もカーテンコールも早々に、ひとり席を立ってましたが、まあ批判されてもしょうがないでしょうね。生オケのコンサートは、マナーモードとか機内モードじゃなくて電源切らないとダメだなと、改めて気をつけよう。