4/15 N響C定期@東京芸術劇場

気温10℃前後の雨、しかも平日夜PM7:30開始というという、悪コンディションでしたが、なんろ広い広い芸劇のホールが満席でした。チケット完売で当日券も出なかったそうです。N響(ドイツ音楽のスペシャリスト)+エッシェンバッハ(ドイツ正統派指揮者)+マーラー5番(ドイツ音楽の王道)という組み合わせだと、これだけの集客力があるんだなと、改めて思い知らされました。 

マーラー5番(マラ5)というドメジャーな曲ですからね、これはオケの実力が試されますが、まあN響は見事でしたね。TpとHrの首席は、そのアルチザンを存分に見せつけました。第一楽章の終盤のTpが美味すぎて鳥肌立ちましたし、第3楽章は、これどう見てもホルン協奏曲でHrソロが極上でした。金管は、首席だけではなく、全体が素晴しいクオリティでした。日本のプロオケでも、金管、特にHrがピアニッシモで和音のコーラスを作ろうとすると、吹き出しのタテがずれて興醒めすることが結構な頻度であるのですが、それが全くありませんでした。やはり、金管は、ピアニッシモが如何に綺麗に鳴るかだと思います。 

弦は中規模構成ですが、第四楽章でとろけました。チェロが、まさに泣いている、という表現がぴったりでした。映画「ベニスに死す」じゃないですが、死ぬ時にはこの曲聴きながら恍惚感に溢れて逝きたいな。 

エッシェンバッハのこの曲に対する解釈は、この曲のテーマである「苦難から歓喜へ」の定席に加えて、始終、冷静な視点がありました。普通、祝祭的なアプローチ一色になる第五楽章も、どこかクールであり、これが非ヨーロッパ人で構成されるN響に非常に合っていると思いました。所謂、コテコテじゃない、非ヨーロッパ系のやるマラ5の最適な解釈。 

ちょっと気になったのが、オケ全体のバランスで、フォルテッシモの時に弦が弱いなと感じました。この原因は、ホールなのか、編成なのかわからんけど。ただ、金管が大型編成だったので、弦もフル構成がよかったとは思います。 

ところで、N響は、来季から、AとCの定期が、NHKホールに戻るそうです。Bのサントリーしか行かなくなるだろうな。