アメリカンユートピアを観てきました

久しぶりに映画館まで行って、アメリカンユートピアを観てきました。この映画は、私のようなバブル時代に多感な学生時代を過ごしたアラフィフのNewwave系オッサンは、コロナだろうが何だろうが、とにかく観に行かないといけない映画です。このコロナ禍の平日でも、渋谷の映画館の予約がなかなか取れない状況でした。

私の大学時代は、バブル期と重なっており、私は東京の私立大学生でした。ちょうど渋谷のPARCOカルチャーの全盛期にモロ被りで、Talking Headsは必須科目でした。因みに、New Waveのその他の必須科目は、モードだとコムデギャルソン、映画だとジャン=ジャックべネックス、日本人だと坂本龍一とアッコちゃんとその仲間達です。Talking Headsのライブ映画Stop Making Senseは、当時の仲間は、必ず複数回観ていた義務教育映画でした。  ちなみに監督は、羊たちの沈黙を撮る前の、まだマイナー時代のジョナサンデミ。これも凄いですが。 

そんなTalking Headsのリーダーのデビッドバーンが、Stop Making Senseから37年振りに、ライブ映画を撮る、という訳で、私のようなオッサンがこぞって渋谷のPARCO映画館に集結しました。若い子も結構多かったですけどね。デビッドバーンは次世代にもフォロアーが多いので。ただ、日本での提供元がPARCOで、翻訳監修がピータバラカン、と映画の冒頭に表示された時に、私のようなオッサンはジーンときました。ここら辺は、80年代を生きた人間には堪らない。    

内容はというと、これは、TwitterのTLでも絶賛されている通り、非の打ち所がなく、素晴らしくハッピーになれるライブパフォーマンスでした。まさに祝祭的。Talking Heads時代から最新作まで名曲揃い。コロナが明けたら、応援上映を絶対やって欲しいし、私は重度の人見知りですが、この映画だったら、多分最初から、我を忘れて立ち上がり、踊りまくり、歌いまくりで、ラストは隣の見知らぬ人とハグが出来ちゃうんじゃないかと思います。  

デビッドバーンという人は、本当にアメリカの良心だと思います。インテリですが、社会に対する強い愛がある。また、それが押し付けがましくなく、胡散臭くもなくとてもスマート。BLMも、投票に行こう(要はアンチトランプ)、も政治的主張は左寄りですが、とてもスマートに反感なく心に染み入ります。ここら辺が、他のアクティビストとは違うところ。日本でのLGBT運動、ダイバーシティ運動も、イタズラに声を張り上げるのではなく、こういうprotocolでやるのがよいのでは。 

それにしても、オーラスのroad to nowhere は反則です。オプティミズムに溢れたTalking Headsの名曲です。バンドが客席に降りて客席間を練り歩きます。オッサンですが泣いちゃいました。歌詞がいいんだよな。ブロードウェイで生を観たいなあ。 

ところで、この映画、あまりの好評のおかげで、爆音上映の限定公開が決まったのですが、私はこのチケット争奪戦に敗れてしまいました。開始2分で完売とのことで。。。残念です。