9/18 東響定期@ミューザ川崎

最近、週末オケ三昧で少々疲れていたのですが、先週日曜日、台風の悪天候の中、ミューザ川崎まで行ってきました。このレパートリーでミューザ川崎だったら、これは絶対に行かないと、とダイヤの乱れにもめげずに都内から遠征してきました。

まず、全体を通じて、ミューザの音質の素晴らしさに改めて感嘆しました。しばらくNHKホール通いをしていたので、その差は歴然です。プロコ5番の銅鑼をはじめとするパーカションの圧倒的な音圧、それに対抗するためCb.8人の重厚な弦の低音の響き、生オケの素晴らしさが堪能できました。

東響の会員を辞められないのは、定期公演の会場が、ミューザとサントリーだからです。N響も、ミューザは無理だとしても、サントリーの公演をもう少し増やしてほしいところです。

一曲目は、ドビュッシーの「映像」から「イベリア」。この曲メロディーラインの素晴らしさとオーケストレーションの流麗さが際立ちます。第三楽章「祭りの日の朝」のVn.のマンドリン奏法が視覚的にも楽しいし、スペインの南国の雰囲気が漂ってきました。首席Tp.のソロもリリカルで素晴らしかったです。

二曲目は、トマジの「トランペット協奏曲」、これは、Tp.コンクールの課題曲として有名ですが、プロオケで演奏されることがあまりない曲です。ソロのティーネ・ティング・ヘルセットが、複数のミュートを見事に使い分けて、Tp.の表現力を最大限に見せてくれました。20世紀中盤の曲なので、Jazzの影響が強く表れており、終わり方も含めて、非常にJazzyでした。この日は、湿度が高く、Tp.にとっては調整が難しい状況だったと思いますが、それを全く感じさせません。また、彼女のルックスが超ショートカットに、ボディーコンシャスなドレスというスタイリッシュなアウトルックで、改めて、ソリストには外見が大事だなあと思いました。

そして、メインが私の大好きなプロコキエフ交響曲5番、この曲、ロシアの対独戦勝利を祝福して作られたという曰くつきの作品ですが、そういう背景は無視して、単純に曲として楽しく、プロコのすべてが詰まっている曲だと思います。得に第一楽章のコーダの圧倒的な迫力。これは、パーカッションが主役の曲です。スネアドラム、トライアングルがこれだけ印象的な曲は、あまり他にはないです。

この曲を16型のフルオーケストラでミューザで聴ける、というのは非常に贅沢な体験です。東響の木管は、それぞれのパートの首席が名人芸で相変わらず抜群にうまいですし、ホルンもいつも安定しています。弦も迫力あって、特にVc、Cb.の低音パートが重厚感で音のうねりがありました。派手なパーカッションにも負けていません。

指揮者は、新進のアジス・ショハキモフで、この人はウズベキスタン出身ですが、指揮が非常にロシア系で、まるでゲルギエフが振っているようでした。つまり、指先のニュアンスがとても繊細で美しい。プロフィール観ると、この若さで、ストラスブルグの音楽監督をやっているそうです。東響は相変わらず、青田買いがうまいです。

好きな曲を好きなホールで演奏されるのを聴くと、どうしてもひいき目になってしまいますが、終焉後も興奮が収まらない満足感の高いコンサートでした。