9/11 ファビオ・ルイージ首席指揮者就任公演@NHKホール

2年ぶりに、神南のNHKホールに行ってきました。ファビオ・ルイージが、N響の首席指揮者に正式就任した記念公演で、ヴェルディのレクイエム(ヴェルレク)でした。

全体的に素晴らしい出来でしたが、色々思うこともあったので、思いつくまま書きます。

  • N響、やっぱり上手。興奮するような感覚ではなく、安定感がとにかく凄いなあという感じ。日本の他のオケに時々感じる金管の不安感が一切ありません。緊張感の途切れない非常に締まった演奏でした。怒りの日でバスドラが気持ちよくタイトに決まっていました。
  • 独唱、素晴らしい。今回、4人ともかなりの実力者を集めましたが、特にソプラノのヒブラ・ゲルズマーワは、よく引っ張ってきたなと思います。これは裏方の超ファインプレーです。何しろ、マリインスキー、ロイヤル・オペラ、メット、スカラ座の主役を張る人ですからね。ロシア人は、今世界の歌劇場から締め出されているので、金銭的には色々交渉しやすかったんだろうな、と余計なことを考えてしまいました。同じくロシア人のメゾ・ソプラノのオレシア・ペトロヴァとの二重奏が美しかったです。テノールのルネ・バルベラも、高温の伸びが素晴らしく、なるほど今話題の人なのね、という感じ。
  • 新国立コーラス、相変わらず上手くて、これぞ日本が誇るプロのコーラスです。
  • NHKホール、やっぱり音はいまいち。今回、チケット争奪戦に敗れて(というか、発売に気が付いたのが9月に入ってから)、3階席しかチケットが残ってなかったのですが、NHKホールの3階だと遠すぎて、ダイレクトに音が伝わりません。生というよりも、隣の部屋のステレオから聞こえてくる感じがしました。例えば、サントリーの2階LBだと、オケからダイレクトに伝わってくる音と、壁の反響音が複雑に混ざり合い、生の醍醐味を文字通り体感できるのですが、NHKホールの安い席にはその感覚はないですね。まあ、これはちゃんとした席で聴いていないので、まだ判断保留ですが。
  • 正指揮者の就任記念公演として、ヴェルレクが果たして正解なのだろうか?メットやスカラ座のコロナ後再開最初の公演がヴェルレクだったというのは、コロナ犠牲者に対する鎮魂歌ととキリスト教文化圏という名目がありますが、これからスタートする日本のオケと指揮者が、カソリックの鎮魂歌というのは正解なのかどうか、私にはよくわかりません。まあファビオがイタリア人なので、ヴェルレクに特別の感情があるのでしょうが、就任記念ということであれば、もっとオケの実力を魅せられるR.シュトラウスとかの方がよかったのではないかと思いました。

ちなみにN響の9月のBプログラムは、サントリーホールで、同じるファビオ指揮のベートーベンのバイオリンコンチェルトとブラームスの2番です。レパートリーとしてはこちらの方が魅力的なのですが、当然のように売り切れです。(ここでもチケット争奪戦に敗れる)

N響は、今シーズンから、カーテンコールの写真撮影OKになりましたので、そこらへんでスマフォで写真撮ってました。私もその波に乗りました。

一般参賀