10/22 東響川崎定期@ミューザ川崎

指揮者:ジョナサン・ノット

シェーンベルク:5つの管弦楽曲 op.16

ウェーベルンパッサカリア op.1

ブルックナー交響曲 第2番 ハ単調 


今月は、色々オケを聴きに行き過ぎて、聴いてるだけなのですがそれでも疲れています。それでも、今回の東響のノット+ブルックナーは、頑張って川崎まで遠征してきました。

結果的に、ノット+東響コンビのいつもの良フォーマットだったと思います。前半が新ウィーン楽派などの近現代をとりあげ、後半は、有名な大曲をノットの新解釈でやるという鉄板のフォーマット。過去にも、ベルク「ヴァイオリン協奏曲」+ブルックナー「ロマンティック」とか、ベルク「室内楽」+マーラー「巨人」とか、このフォーマットは外れがないです。

一曲目のシェーンベルクは、「浄夜」とか「グレの歌」などのコテコテ後期ロマン派から、無調の世界に踏み入れたばかりの時期の作品で、新ウィーン楽派特有の乾いた虚無感がプンプンしていました。特に3楽章は、リズムのないハーモニーだけの世界で、まるでリゲティ。流石、リゲティやらせたら世界一のノット。

二曲目のウェーベルンは、シェーンベルクの弟子ですが、この曲は、1曲目より以前に作曲されており、まだ後期ロマン派の匂いを残しています。大変美しいメロディがところどころに出てきます。しかし、やはり抑えきれない衝動、というか感情の発露で、よい意味でぐちゃぐちゃになります。それでいて、最後は一つの作品として上手に収束して、ああ美しいと感じます。

後半のブルックナー2番は、初版に近づけるため、第二楽章と第三楽章の順番をひっくり返したことにより、第四楽章のクライマックスがより鮮明となりました。ブルックナー好きな人もあまり聴かないマイナーな2番ですが、大変魅力的な曲だということに気づかせてくれました。ブルックナー後期の交響曲の色が、全部表れていました。これは、ブルックナー好きにはたまらないでしょう。

残念なことに、客入りは6割くらいでした。10月は、あまりに多くのオケ公演が多すぎて、クラオタが分散しているのでしょう。今週のブロム爺のシューベルトも、直前までチケット販売しており、つまりソールドアウトしなかったということ。

ただ、オケの運営側としては、コロナの2年半分の売り上げを取り戻したいので、今秋は詰込みになるのでしょうね。

私の10月のオケ鑑賞はこれで終了ですが、11月は、ノット+グリゴリアン+東響の「サロメ」(しかし、サロメをコンサート形式でやるなんて、いったいどうなるんだろう)、サイトウキネンの30周年記念の「マーラー9番」(ネルソンスがブロム爺とどう差別化するのだろう)、藤田真央クンの凱旋公演(ラフマの2番と3番を続けてやるなんてどうかしてる)と、今から楽しみなコンサートが目白押しです。