アマプラにファスビンダーのケレルがきている 😵

私は、西ドイツ時代のニュージャーマンシネマが好きです。ヌーベルバーグ、アメリカンニューシネマと同じカテゴリーですが、フランス、アメリカにはない政治的な不安定とエログロのエッセンスが強いところが好きです。世界大戦で負けて国が分断されるというのはこういうことなんだなと思います。

大学生時代に、名画座で「ブリキの太鼓」と「マリアブラウンの結婚」を観てはまりました。それからは、ヘルツォークの「アギーレ」「フィッツカラルド」や、ヴェンダースロードムービー3部作を貪るように観てきました。主要な作品は、ほぼ観たと思います。しかし、ファスビンダーの遺作であり、最大の問題作である「ケレル」は未見であり、噂で聞いていただけでした。曰く「ジュネ原作のほぼゲイポルノで豪華絢爛でオールスターキャストの教養映画」とのこと。訳がわかりません。ただ、内容からして、wowwowやスターチャネルで観れる作品ではないと思っていました。

ところが、これがアマプラで見れるようになってました。早速見ましたが、
いやあ、これ、噂通り、ほぼゲイポルノで絢爛豪華でオールスターキャストの教養映画でした。 まず、ゲイのセックスがリアルにl描かれています。所謂モーリスとかのBL系ではなく、直接的かつ肉感的なガチムチ系です。恐らくここで脱落する人が多いでしょう。
しかし、場面転換の都度、古典文学からの引用があり、特にプルタルコスの「愛について」の引用が、この映画が古代ギリシア、ローマの精神性を体現していることが分かります。死について、深く考えさせられます。
美術は、まあ絢爛豪華です。オールセットで構成されていますが、艶かしくエロいです。フェリーニより豪華です。 衣装は、ボンテージが超絶格好いいです。ゴルチエは確実にこの映画の影響受けてるでしょう。
最後にキャストですが、主役のケレルがどこかで見たことある顔だなあと思って観てましたが、ミッドナイトエクスプレスのブラッド・デイヴィスでした。ムキムキでマッチョですが、顔は少年のようにあどけない。この人、バイセクシャルHIVポジティブで、最後安楽死なんですよね。まさに、ケレルにうってつけです。脇を固めているのが、フランコネロとジャンヌモローで、両者とも、老醜の悲哀を見事に演じてます。もっとも、フランコネロは、今も現役で、6月恵比寿ガーデンシネマで「コリーニ事件」の主役ですが。←実はこれ今一番楽しみ❤️

ファスビンダーの遺作にふさわしい、エログロだけど精神性が高い名作だと思います。30年来の想いがかなって、観れてよかった。