8/20 東響定期@サントリーホール

ペトル・ポぺルカの日本の実質(プロオケ)デビューを聴いてきました。素晴らしい才能で、また聴きたい・観たいと思わせる指揮者でした。今後、メインストリームを歩いていく逸材だと思います。

東響は、ウルバンスキーといい、ポぺルカといい青田買いのセンスが抜群によいですね。

ポぺルカの素晴らしいところは、

  • 音楽の繋ぎと切り替えが明確ではっきりしています。ウェーベルンの「夏風の中で」のpppの静寂からの爆音への展開とか、ラフマの「シンフォニックダンス」の第二楽章の目まぐるしいワルツ展開とか。いわゆる「アーティキュレーションの妙」っていう奴ですね。
  • 弦の国の人(チェコ)、かつ本人もコントラバス奏者出身なので、弦楽器がとにかくネットリしています。左右のバイオリン陣を煽りまくって、ネットリさせていました。
  • 後期ロマン派から無調までこなすレパートリーの広さ。「夏風の中で」は、ウェーベルンですが、これは完全に後期ロマン派で詩情にあふれています。一転して、ベルクの「ヴォツェック」は、これ無調+12音階で、また歌詞の内容がすさまじく、まさに「退廃」の極致です。ソリストの森谷真理が、SMの女王様のようなたたずまい(これは最大級の賛辞)で、怖いです。これは、今日の白眉でした。フルバージョンのオペラ版が観たくなります。
  • オケを束ねるカリスマ性。東響の楽団員がめずらしくTwitterで絶賛していますが、オケが完全に指揮者を信頼しており、身体を委ねているのがよくわかるような統率力です。結果、オケの集中力が途切れずに、最初から最後まで緊張感が維持されました。
  • ルックスがよい。デカい+アクションが大きくて躍動的+スラブ系の野性味あふれる顔。こういういで立ちなので、逆にモーニングが最高に似合っていました。ジョナサンノットのような優美でクールな指揮もよいのですが、こういう東欧系の指揮者は、熱量と素朴さワイルドさが魅力で大好きです。

2022/9月から、プラハ放送交響楽団の首席指揮者に就任の予定とのことで、ドボルジャークの8番とかでオケ連れて来日してくれないかな。