ドヴォルザーク:
序曲「謝肉祭」Op.92
ピアノ協奏曲 ト短調 Op. 33 B. 63
交響曲第7番 ニ短調 Op. 70 B. 141
ビシュコフ+チェコフィルのオールドヴォルザークプログラムで、ソリストは藤田真央。
チェコフィルを聴きたくて、今年、プラハへの旅行を計画していましたが、向こうから来日してくれたので、万難を配して聴きに行きました。
結果的に、プラハにますます行きたくなるような素晴らしいプログラムでした。
藤田人気もあり、平日ソワレですが満員御礼。半分くらいは、藤田目当ての女性で、普段の在東京オケの観客とは大分雰囲気が異なり、大変華やかでした。
オープニングは、「謝肉祭」。のっけから、チェコフィルの音が炸裂します。弦の音がチェコフィルです。ちょっと濁っているんですが、それが実に心地よい。野生味と風味が出ています。これは、日本のオケでは難しいです。
続いて、藤田真央のピアノコンチェルト。あまりコンサートで取り上げられる有名曲ではないですが、ドヴォルザークの民族的な旋律と美しいハーモニーが絡み合って、いかにもドヴォルザーク、という渋い曲です。
冒頭、弦楽器とピアノの絡み合うところですでにゾクゾクし、第二楽章は最早天国の心地よさ。聴きながら、5月の若葉の季節ににチェコに行って、大草原に寝転びたいなあと思わせます。
藤田のピアノは、相変わらず音の粒がキラキラ溢れるように美しく、一方、第一楽章カデンツアでは聴くものを唸らせる迫力があります。完全にワールドクラスのソリストですね。チェコフィルと対等に会話しており、最早風格すら感じられます。
後半は、交響曲7番。チェコフィルの人達は、ドヴォルザークに対しては、やはりプライドがあるのでしょうね。圧倒的にチェコの風味がします。しかもオケメンバーが始終ニコニコで演奏している。世界一のドヴォルザークを聞かせてあげるよ、と言っているようでした。
実は1ヶ月前に、都響で、同じドヴォルザーク7番をサントリーホールで聴いているのですが、何か物足りないモノを感じました。上手くて綺麗なんですけどね。その原因が、今日のチェコフィルでわかった気がします。やはり、身体の大きなスラブ系の人たちが、微妙に濁った、しかし暖かい弦の響きでノリノリで弾くのがドヴォルザークなんだと思います。
去年のサイトウキネンのマーラー9番以来の心に残るコンサートでした。