ラヴェル/組曲「マ・メール・ロワ」
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番 ハ短調作品18
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
先週に引き続いて今週も神南のNHKホールに行ってきました。目的は、シャルル・デュトワの7年振りのN響との共演です。
世界的な大物指揮者のデュトワですが、とりわけN響とは相思相愛の関係で、相性抜群でした。しかし、2018年のいわゆる「me too」運動で、過去のセクハラ、パワハラが問題視され、世界レベルのオケからは一斉締め出し。N響も世界クラスですから、当然彼を締め出しました。
年も80歳を超えているので、もう引退するのかなと思っていましたが、最近まで地味に日本のローカルや非常設のオケで活動していました(大フィルとか新日本フィルとかSKO)。ここら辺の事情は、映画「TAR」がかなりパクっています。
しかし、N響が遂にデュトワ解禁。日本では禊が済んだということになるのでしょうか。ちょっと複雑な気がします。そうはいっても、やはりN響とデュトワのコンビの魅力には抗えず、モヤモヤしながらNHKホールに行ってきました。
会場は、先週のブロム爺に続いて満員御礼。やはりこのコンビは集客力があります。
演奏の方はというと、7年のブランクを感じさせない相性の良さ。音の魔術師と言われるだけあって、まあ華やかでキラキラした音です。デュトワにかかると、「ハルサイ」も洗練されたゴージャスサウンドになります。オケの編成も、12型→14型→16型と徐々に大きくなっていき、それに合わせて、聴かせどころも、「マメールロワ」の弱音の儚げな美しさから、「ピアコン」のロシアリリシズムを経て「ハルサイ」のアメリカのオケのようなゴージャス爆音サウンドになります。
ルガンスキーは、正統的なラフマニノフ弾きといった趣で、ロシアのピアニズムを聴かせます。この人のラフマニノフは安心して聞けます。この人の素晴らしさは、以下で力説してます。
ただ今回、オケとのリハーサル不足で、ちょっとオケと合わない部分が数カ所ありました。それとNHKホールは、ピアノ協奏曲は音が埋没しがちで、あまり向いてないなと思いました。
終演後は、拍手喝采で、デュトワはカーテンコールもあり。ネットの評判も両手をあげての歓迎しています。中には、「王者の帰還」とか英雄視しているものもありました。
来年からは、N響の定期にもデュトワ復帰です。N響もドル箱指揮者が、ブロム爺とソヒエフと合わせて3人になるのはウハウハでしょう。
ただ、実際に聴きに行った私がこんなことを書くのはちょっと矛盾しているのですが、セクハラ、パワハラは時間が経てば許される類の罪なのでしょうか? デュトワを許すということは、ジャニー喜多川も許すことになりはしないのか?日本は、セクハラ、パラハラといった犯罪に鈍感すぎるにではないか?未だに、デュトワは、モントリオールフィルもフィラデルフィアからも出入禁止のはず。つまり、欧米では許されていない存在です。
帰宅時に、代々木公園を歩きながら、そんなことを考えながら、モヤモヤした気持ちになりました。