今年もピティナ特級ファイナルに行きました

去年に続いて今年も、ピティナ特級ファイナル@サントリーホールに行ってきました。去年は、ファイナリスト4名中3人が、ラフマニノフの3番を選択というラフ3祭でしたが、今年は古典派から後期ロマン派まで幅広いラインナップでした。ただ、こうなると、審査は難しいだろうなあ。モーツァルトとラフマを同じ土俵で審査するわけですから。 

グランプリは、史上最年少の15歳の野村友里愛さんでした。高校1年です。チャイコフスキーの1番でしたが、これが堂々たる風格ある演奏で、ちょっと衝撃的でした。オケとのコンチェルトが生まれて初めての経験、かつ技術だけでは押し切れない、ソリストとしての風格や貫禄が必要とされるチャイコの1番(なので若手のコンクールではあまり選択する人がいない)ですが、完全にオケを掌握して貫禄たっぷり演奏しました。章が進むにつれて、オケとの一体感が高まっていき、第3楽章はピークに達して、凄い高揚感でした。今後、彼女はコンサートピアニストの道を進んでいくのでしょう。

個人的に一番心に響いたのは、銀賞の進藤実優さんでした。やはり私はロシアンメソッドが好きなので、彼女のスタイルと表現がとても心に響きました。ショパンの1番でしたが、この曲の持つ切なさがグイグイ迫ってくる演奏でした。ショパンのピアコンは、審査員の間で評価が分かれやすい曲ので、なかなか難しい選択ですが、10月にショパンコンクールの本線が控えているので、こういう選択になったのでしょうね。本音を言えば、中学からモスクワに留学している彼女には、ロシア人作曲家のピアコンを聴きたかったですが。まあ、今回は、10月の本番のよいリハーサルになったと思います。 

銅賞の今泉響平さんのモーツァルト23番もある意味衝撃的で、ピアノのコンペのファイナルで、モーツァルトを弾く勇気に感嘆しました。この人まるでグレングールドみたいな独特の演奏スタイルで、容姿がオトコマエ。これソリストには重要なポイントです。ソロリサイタルを聴いてみたいピアニストです。 

入賞の五条玲緒さんのラフマの2番も、とても丁寧で細やかだったのですが、今回はトップバッターで割を食ったなという感じです。 

ゲストで、3年前のグランプリの角野さん(カティン)も来てましたが、彼も10月のショパンコンクール本線進出です。 

ピティナのファイナルもおもしろかったですが、10月のショパコンの本線が今から楽しみです。