カトリーヌドヌーブ「真実」と「幸せの雨傘」の差

アマプラに、是枝監督の「真実」が着ていたので観ましたがイマイチでした。せっかくのドヌーブが生きてません。是枝監督は、時々こういう映画を撮ります。「誰もしらない」とか「万引家族」のようにヒリヒリするシビアな映画は、私は心を激しく揺さぶられますが、「海街ダイアリー」とか「歩いても歩いても」のように、平凡な家族のちょっとした軋轢が見えるけど、結局元のサヤに収まる、という小津安二郎風味の映画はちょっと苦手です。なんかこういうアプローチは、今の時代では厳しいのではと思ってしまいます。  

「真実」は後者でした。わざわざフランスまで行って、ドヌーブとビノシュという2大看板女優使って、趣味のよい日本のホームドラマ撮ってどうすんのよ、という感じです。

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比較するとしたら、フランソワーズオゾンの「幸せの雨傘」かな。のっけから、ドヌーブのアディダスのジャージ姿で笑わせてもらえます。家族モノのストーリーですが、内容はそれなりにシビアです。自分の父親の事業を旦那に乗っ取られて、旦那との社長争奪戦では実の娘に裏切られますが、ゲイの 息子は完全に自分の味方で(そもそも旦那の子でない)、ナチュラルに愛人がいて、でも愛人に媚びる事もなく自分を貫き通して、最後には国会議員になって、フェミニズム万歳のオンステージで終わりです。いやあブラボーです。ドヌーブの魅力が詰まっています。

フランスの家族モノなら、これくらい個々の主張が激しくないとつまんない。是枝は、大人しすぎるんだよな。

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