ピティナコンペでラフマの3番を1日3回聴いてきました

ピティナコンペティションという国内で一番大きいピアノコンクールの最上位カテゴリーの特級ファイナルが、サントリーホールで開催されたので、行ってきました。
f:id:t2mercury:20200822110710j:plain ファイナルは、指定されたピアノコンチェルトから演者が1つ選択する方式ですが、今年はファイナリスト4人のうち3人がラフマニノフの3番を選ぶという事態となり、おかげで1日3回ラフマの3番を聴くことになりました。

ラフマの3番は、数多あるピアノコンチェルトの中でも、スケール、難易度どちらも最上位で、演奏終わった後には、演者だけではなく、聴衆もグッタリ疲れるとんでもない曲なのですが、それを1日3回も演奏した東京交響楽団と指揮者の岩村さんは大変だったと思います。

演者の解釈とスタイルが3者3様で、これは非常に面白いなと思いました。ラフマの3番ですから、クラシックファンであれば、相当聴き込んでおり、それぞれがお気に入りの版(ちなみに私はアルゲリッチ+シャイー)があります。なので、自分の理想版と比較しながら聴くことになり、演者の違いが明確になり全く飽きませんでした。

コンペの結果は妥当だと思います。金賞の尾城さんは「華やかで大人のラフマ」、銀賞の森本さんは「オレ様ラフマ」、銅賞の谷さんは「ロシアの伝統的ラフマ」、唯一ショパンを弾いた山縣さんは、「優しいショパン」でした。

個人的な印象度でいうと、森本さんが強烈でした。高校1年生の16歳ですが、オケと対話するのではなく、オケを自分がグイグイ引っ張る「オレ様流」。荒削りな部分もあり、ミスタッチも目立ったのですが、それでも圧倒的に引き込まれました。ピアノの鳴り方、特にffの鳴り方がダイレクトに突き刺さってきます。視聴者投票でダントツ一位だったのもよく分かります。

コロナで大変なご時世ですが、ここまで面白いコンペを開催した関係者の熱意と努力に感服します。 f:id:t2mercury:20200822113823j:plain