コリーニ事件を観てきました

恵比寿ガーデンシネマで、コリーニ事件を観てきました。

ユダヤ人虐殺が出てこないナチスドイツの罪

ナチスドイツを断罪する一番簡単な方法は、ユダヤ人のホロコーストに焦点を合わせて非難することです。しかし、それでは一部の狂信的な犯罪者に全責任を負わせて、普通のドイツ人に罪は無かったことになります。そういう解釈にしている映画はいっぱいありますよね、シンドラーのリストとか。
この映画は違います。ユダヤホロコーストは話に出てきません。その代わりに、ナチスドイツの罪を巧妙に隠匿したとして、ドイツ全体を断罪しています。戦後のどさくさに紛れて、訴追されずに逃げ切ったドイツ人と彼等を守ったドイツ全体を、現代の視点から断罪しています。

現代ドイツの抱える移民問題

しかも断罪しているのは、トルコ人ハーフの弁護士です。これは、今のドイツの移民問題にも繋がります。主人公の弁護士は母子家庭ですが、足長叔父さんの支援で大学まで卒業できました。その足長叔父さんの家族とは兄弟のように仲良くなりますが、一見リベラルで偏見のないこの家族は、自分達が追い詰められると、本質を露わにします。「あんたなんか、お爺さん(=足長叔父さん)がいなかったら、今頃ケバブ屋の店員よ。」と言い放ちます。怖いですね。これが本質なんでしょうね。

ドイツの厳しさ

こういう自国の罪を断罪するような小説がベストセラーとなり、映画も大ヒットするのが、ドイツという国の厳しさなのだと思います。日本ではあり得ないでしょう。

恵比寿ガーデンシネマはガラガラ

日曜日最後の回だったので観客6名くらい。大丈夫かなぁ。よいハコなので、潰れないで欲しいです。