新国立美術館のウイーン・モダン展に行ってきましたが

予想通り、残念な企画展でした。正直、時間とお金の無駄だったかと。

サブタイトルに、「クリムト、シーレ」と記載されているので、この2人の作品がメインのように見えますが、これは明らかにミスリードさせるマーケティングです。 提携がウイーンミュージアムという時点で、クリムト、シーレ好きからすると、「ああ大したことないな」とわかってしまいます。クリムトならベルデベーレ、シーレならレオポルド(どちらもウイーンの美術館)から作品を借りないと、正直厳しいです。同時開催していた上野のクリムト展は、ベルベデーレと提携できたので、ユーディットを持ってこれました。

「世紀末への道」という副題ですが、展示は、18世紀後半のマリアテレジアから始まります。そこから、ウイーン会議→19世紀末→20世紀初頭と、歴史変遷に沿って作品を見せていく形なのですが、正直、歴史順に並べただけの冗長なイメージです。

展示は、写真撮影禁止なのですが、クリムトの「エミーリエ・フリーゲ」だけは撮影可という、ちょっと訳がわからないルールでした。開催者の「お詫び」なのかなと勝手に想像しました。「たいした作品を持ってこれないのに、入場料1600円もとってゴメンなさい。せめてもの償いに目玉作品だけでも写真撮影可にします」とか。

唯一おもしろかったには、展示の最後の方に、シェーンベルクの作品があったことです。この人、無調音楽を切り開いた20世紀の大作曲家で、私は「浄夜」とか「グレの歌」とか大好きなのですが、この人が画家でもあるということは知らなかった。展示作品のテーマが「マーラーの葬式」で、そういえば、マーラーシェーンベルクって仲良しだったよな、とか、色々思いを馳せました。

残念なのは、この展示がクリムトの魅力もシーレの魅力も全く伝えられていないという点です。特に、シーレについては、持ってきた作品では、あの神経症的なヒリヒリ感が伝わっていないと思います。 下のような「痛々しい剥き出し感」がシーレの魅力だと思います。(レオポルド収蔵の自画像)