ルイスブニュエル特集に行ってきました

今週、早稲田松竹で、ルイスブニュエルの特集をやっていて、2日連続で見てきました。 というのも、全部で4本上映で、1日2本ずつをセットで上映していたからです。以下は、初日に見たカトリーヌドヌーブ主演の2本の感想です。

昼顔

エロチック+シュールレアリズム+コメディ映画です。「上流階級の夫人が、自分の肉欲をもて余せ無くなり、貞淑な夫とは別の性欲まみれの二重生活をする」というプロットの映画は、古今東西数多くあるのですが、その原点となった映画です。 エリート医者を旦那に持つドヌーブが、実は不感症で旦那との性生活に問題を抱えており、妄想に悩まされており、ふとした興味で昼間だけの娼婦をはじめたら、精神的に解放される、という話です。ドヌーブの妄想シーンがとにかく笑えます。このオンナが真正マゾで、ムチ打ちとか馬とか出てきます。 そんなドヌーブですが、衣装は全てイブサンローランで、モード全開で最高に格好よいです。そのギャップがまた笑わせてくれます。

悲しみのトリスターナ

不幸な女の一代記です。18歳の若いドヌーブが、母親が死んで身寄りがなくなり、スケベ親父の養女になるのですが、その親父に手篭めにされて、「父であり夫である」というインモラルな関係に陥ります。その後、親父に抵抗して恋人と家出するが、この恋人にも捨てられて、結局親父の元に連れ戻され、病気で片足を失うという不幸に見舞われるのですが、最後は心臓麻痺の親父を見殺しにして復讐する、という鬱な話です。が、ヒロインのドヌーブが全然可哀相ではなく、話が進むにつれてどんどん強くなっていきます。最後は、親父を精神的に支配して、関係が逆転するまでになり、不思議な爽快感があります。

大女優のドヌーブとシュールレアリズムに巨匠のブニュエルが、意外に相性がいいのはちょっと驚きでした。というか、ブニュエルが、ドヌーブの冷たい魅力をよくわかっていると思います。